2011年12月18日 いよいよ愛姫ちゃんのエンジンの組み付け作業が始まりました。

私の部屋でのエンジン解体がスタートして一ヶ月が経過していました。アキヤマ先生にエンジンの組み方の基本を教えて頂いていました。クランクケースはひっくり返したまま組みつけていくこと。そうする事でミッションがミス無く組みつけられる、つまり組み付けロスが防げると言うアドバイスでした。私は液体ガスケットも使用した経験が無い。だからこそ組み付けは経験者のアドバイスに忠実に慎重にいこうと決意していました。
エンジン屋さんからは、クランクケースのボルトのメス穴に水分や油が残っていると、エンジンが高温になった時、その残った液体が沸騰して、内圧に耐え切れず、そこからケースが破裂した例など教えていただきました。

こ・・怖いやん・・。

この一ヶ月、エンジンをバラす際は勢いよく順調に来たけれど今までのペースで調子こいちゃうと全てが終わるなぁ・・と思っていました。
ハヤシさんからお譲り頂いたゼファー400ミッションをクランクケースに仮で置いてみました。勿論の事ですけどクランクケースにぴったりフィット。

写真は上がZ400FX、下がゼファー400。

シャフトは13ミリ程長い。
ゼファー400のシフトドラムを愛姫ちゃんのクランクケース(下)に入れました。

入れるのにメッサ時間かかりました。
外したZ400FXのシフトドラムと、ゼファー400のものは穴の形状とかが違うのが解かります。

Z400FX(琥珀色)とゼファー400(銀色)

結構痛んでたのですね。正直入りにくかったから入りやすくなるかも。

今回のチューンはいい機会になるかも。
クランクに新しいオイルシールを装着するために、秋山先生にお借りしているプーラーでマグネット外しを開始。

前回は伊勢のまっちゃんのファクトリーまでお伺いしたけれど、今回は自分でやってみる。

結構硬かったのですが、CRC吹いて、トーチであぶって叩いたらあっけなくポロっと取れました。
クランクを比較しました。コンロッドの形状も刻印も愛姫ちゃんのものと違ってました。

ネジも13→12ミリになってたし。

何が改良されているのか解からないけれど。
しかし便利な工具があるのですね。ひとり感心していました。
クランクメタルの端っこをマイナスドライバーでトンカチで軽く叩いて外していきました。

色は愛姫ちゃんのエンジンのものも、ZGPベースエンジンのものも20個全て緑色でした。サービスマニュアルを見ると緑色が一番肉厚が厚い。
ところがアキヤマ先生にお借りしているマイクロメーターで計測してみると、全て愛姫ちゃんのほうがZGPベースエンジンのものよりもコンマレーテンレー数ミリだけど微妙に全て薄いんです。間違いなく減っている。

ですので、全てZGPベースエンジンのクランクメタルに交換する事にしました。
愛姫ちゃんのクランクケースにZGPベースエンジンから外したクランクメタルを装着しました。

指で押さえるとパチンッ!って嵌る感じです。
クランク置く前に、ちょっとだけオイル差しておきました。
いよいよZGPベースエンジンのクランクを愛姫ちゃんのクランクの上に乗っけてみました。
このシールの位置がなかなかあわないので難儀しました。
不思議なのはこのシール、側面のどちらかに押され固定されている訳でもなく、シール中央にあるこのちんまい溝でこの位置を保っているのでした。

要するに真夏の走行などエンジン内圧は相当なものだと思うのですが、それでもスライドする事なくこの位置で固定されているのはこの薄っすい溝だけだったのです。そんなものなのかな・・とひとりつぶやいていました。
こちら側も嵌っているように見えて微妙にずれてたり。ここを誤ってしまうと全てが終わってしまう・・。とう思いながら作業を行いました。
こちら側(クランクケース上側)に液体ガスケットを塗るのか、かぶせる側(クランクケース下側)に塗るのか、どちらのほうがうまくいく(いきやすい)のか思案していました。

サービスマニュアルを見るとクランクケース上側っぽい事が記載されていました。

この日はここで作業を終了しました。
この日作業終了後ヤフオクでトルクレンチを調査。ようさん出てきましたが、サービスマニュアルのトルクを見て範囲を網羅するものをやっと見つけました。プリセット型3/8(9.5sq)トルクレンチ 7〜105Nmというもの。

出張で東京に行った際にアキバのラジオ会館で見たものは2万円はしました。精度は悪いかもしれないけれど価格の安さにオシッコちびり。

悩んでも仕方ないので落としました。7〜105Nmやで0.7〜10.7kgfというもの。送料込み3900円。結構安いのですね。
2011年12月19日 柴ちゃんからお電話頂きました。

「まっちゃん、今ヤフオクにすごいエンジン出てますね〜。」

「何?すごいエンジンって。」

見てみると何だか凄いオーラが出ている。
ボアを拡張しているのでスリーブ同士がくっついていました。

ちょうどこの頃はクランクケースを開けている時期でしたので、この画像を見てクランクケースにどうやってハマるのだろうと思いました。
クランクケースのシリンダとシリンダの間が繋がっている。私もいろんなZ400FXのエンジン見てきたけれど、こんな加工ははじめて見ました。
私はこのモンスターエンジンの画像を見て、POSHのシリンダーを装着して見たくなりました。

「全てを失うかもしれない・・。」

確実に情報不足でした。けれども今までのMDS★WEBではダメもとで果敢にチャレンジしてきた事だし、素材はあるのだからチャレンジしてみたい、駄目だったらそれから考えよう、そう決意しました。

こうしてこの日、アマゾンさんにPOSHシリンダー用ガスケットキットを注文しました。
2011年12月21日 この日はZGPベースエンジンのヘッドの洗浄作業を行いました。

前章で記入しましたが、ZGPエンジンはベースエンジンとしては最高のコンディションを保っていましたが、ヘッドのバルブ周りはカーボンの付着が凄まじく、清掃が必須という状況でした。
この日はパーツクリーナーで、ずっと洗浄を継続してきましたが、ご覧のとおり表面上は少しは綺麗になりましたが、ポート奥の部分は殆ど清掃できずという有様でした。
2008年のStage102の際はミツトモさんに特殊器具で綺麗にして頂いてた。でも、ここは私の部屋であり、こういう特殊工具もない。
伊勢のまっちゃんが使用してた白い粉・・。この溶液にドブ漬けすればいいけれど、発注してしまえば楽なのに、何だか乗り気になれない。

今から思えば、間違いなくこの粉を使用するべきだったと思います。
この日は指が痛くて作業継続が出来なくなりました。明日にしよう・・そう思いつついいアイデアを模索していました。
2011年12月22日 この日はスケルトンを使用しました。洗浄に疲れきってたので薬品に頼るという始末。

これが思いの他、効果を発揮しました。完全にアルミが顔を出すまでには至らなかったけれど、燃焼室はかなり綺麗に。そしてバルブガイド、ポートあたりもかなり綺麗になっていきました。

スケルトンで掃除、風呂場で熱湯シャワー、スケルトンで掃除、風呂場で熱湯シャワーを繰り返しました。
スケルトンを塗っても、もうカーボンが浮き出てこない時期が来ました。この辺で終わりなのだろうか・・。

ポートの辺りは、完全にアルミは出ていないけれど、これ位なら合格点かな?と思いました。
こうして長いヘッド清掃作業は終了しました。
2011年12月24日11:52 この日はmixiでお知り合いになった三重県は多気にお住まいのEXIAさんから連絡頂き、いつもの松阪は小舟江北ミニストップで待ち合わせを。

世の中はクリスマスイブ。EXIAさんもワシもクリスマスイブ関係ないんかい!って感じでした。
11:59 ボボボボボボドッカーン!

絶対サイレンサー無いぞ〜、このコ・・・わぁ。
「はじめまして。まっちゃん★松阪です。」

「はじめまして。EXIAです。」

「とてもよくまとまったE4ですね。」

「そうですか〜。走るのが楽しくて楽しくて・・。」

「素晴らしいお話ですね。」
サイレンサー見たらやっぱり!

「はははは。何もありませんやん!」

「はい・・今日は元気に。」
お話をお伺いすると、多気にこのマシンを仕上げた方がお見えになるとのこと。その方は伊勢のまっちゃんも知ってる方で、カズマ君という方との事。

三重県南勢地区でZ400FXネットワークが繋がってきましたよ・・。
エンジンをかけていただいた。

キュ〜キュキュキュ・・ボボボーーーーーッ!

フォン、フォーーーンッ!フォン!

「素晴らしいレスポンスですね・・。戻りがいいですね。コンディションGOOD!って感じです。セッティングバッチリ!って感じですね。メッサ調子良さそう。」

「調子はいいですね・・。ホント、カズマ君のおかげです。カズマ君はまっちゃんさんに逢いたがってました。」
「そうなんですか・・。嬉しいですね。」

何だか知らないところでいろんな話が繋がってて、何だか嬉しくなりました。
右のキャリパーもきちんとエアーは上についていました。きちんと右用なのですよね。

ダブルディスクもかなりの制動力と伺いました。
EXIAさんはカズマ君に電話されていました。

「いま、MDSのまっちゃんと一緒にいるんですよ〜!」




ワシは芸能人かっ。
ヘルメットとか見てると、四国は翔ヤンのセンスに似てるのかな?
お歳をお伺いしたら私より20歳以上お若い(悲)

でもとても楽しいひと時でした。

EXIAさん、また走りに行く時はお誘いくださいね。
13:35 EXIAさんとお別れしてから、遂にゼファー400エンジンをバラすことにしました。

これで春まで乗れなくなるのかぁ・・。

見納め。

少しさびしいかな・・。
13:45 いよいよヘッドのボルトを緩めはじめました。
神さま、仏さま、お願いですからヨシムラST-1を私に授けてくださいませ〜!

かしこみ〜。かしこみ〜。かしこ〜。

カパァ・・・。
ゼファー400のノーマルカムやん!

まぁ、お宝鑑定団じゃあるまいし、20万円もするものがエンジン込みで35000円で手に入らないわな〜(笑)
さてさてこのエンジンのバルブタイミングなんですけども。

愛姫ちゃんのもの、ZGPベースエンジンと同じものだったのです。

ゼファー400のボアアップなのに、超ショートストロークのクランクなのに、バルブタイミングはゼファー400と違うという。

恐らくPOSHさんのこのキットのマニュアルには、こうしなさいって書いてあるのでしょうね。
カムスプロケットにはしっかり白色で印ついていました。このPOSHエンジンを組まれた方の印なんですよね。
こちらは排気側です。
こちらもしっかり印ついていますね。
13:57 いよいよカムプラグを外しにかかりました。
ヘッドを外しました。随分長い間代替エンジンとして頑張ってくれたピストンの姿を見て涙が出そうになりました。
このピストンで針も行ったし、大阪も行ったし、静岡も行った。ゼファー400のオプション設定として有名なPOSHのシリンダ&ピストンは思った以上に高性能で信頼のおけるメニューだったのです。
上死点であわせてみました。ピストンの盛り上がりにより、かなりのハイコンプ。
Stage189の時に、1番10.0 2番12.0 3番11.5 4番12.0

という脅威の圧縮率を見せたPOSHエンジン。圧縮率もさることながら10000回転からさらに上に回っていこうとするそのエンジンフィールも凄まじいものがありました。

私は今、その財産をバラしているんだと思っていました。
いよいよシリンダを外しにかかります。何やっても取れない(汗)こんなことしてたら、フィン折れるわ。もっと違うやり方あるなぁ。

何を考えたか・・。シリンダの前後にロープをかけて吊り下げたっ(爆)
ちょうどその時伊勢のまっちゃんから電話かかってきました。

「まっちゃん、ガリガリ音してますが何の作業です?」

「シリンダ取れないからロープでシリンダ巻いて吊り下げてますよ〜!」
「まっちゃん、それ、アロンアルファのコマーシャルとちゃいますよ〜!そんなことしたらゴソってバイク毎、落ちてピストン割れますよ。やめておきましょう!」

「そやな〜!今5センチくらい車体上がってるし。あかんなぁ。危ないなぁ。教えてくれてありがとう。」

「そんで、どうやったら取れますの?これ。」

「エキパイ側にマイナスドライバー突っ込むところあるはずですよ。そこにマイナス突っ込んでこじ開けます。頑張って!」
「なるほど。ワシ、エンジン2回開けたけれど、そんなん知らんだわ〜。」

「無茶苦茶しますね〜。」

「そんで、どうやったら取れますの?これ。」

「エキパイ側にマイナスドライバー突っ込むところあるはずですよ。そこにマイナス突っ込んでこじ開けます。頑張って!」

「なるほど。ワシ、エンジン2回開けたけれど、そんなん知らんだわ〜。」

「無茶苦茶しますね〜。」
伊勢のまっちゃんに教えてもらったやり方で、マイナス差し込んだら、叩く前にシリンダ取れました(爆)

しかし無茶苦茶です(笑)
ピストンまぁまぁ綺麗でした。

ここまでやって、スカートとか割れてたら、全てを失っていました。

まだまだ運はもってました。
ピストンピンのクリップが落っこちないように十分気をつけて全てのピストンを外しました。

15:55になっていました。

すっかり薄暗くなってきていました・・。
18:04 外したPOSHシリンダーを愛姫ちゃんのクランクケースに嵌めてみました。

結果、嵌らずでした。

不思議とクランクケースに干渉するんです。

スリーブの外側と、クランクケースの内側は同じ寸法って感じです。
画像を見てお解かりでしょうか・・。

少し浮いています。

これ以上嵌らないんですよね。
ケースを裏から見たところです。

円と円がツライチというのが良く解かります。

上のスーパーエンジンまでは行かないけれど、干渉しないように、よく見ながら、将来の事も考えてクランクケースを削っていかないとまずそうですね。しかし、ケース組む前に発見できて良かったという感じでした。
こう考えると、Z400FXのクランクケースと、ゼファー400のクランクケースはケースのスリーブが嵌るところの設計が違うという事なのです。

ゼファー400のほうが、スリーブに干渉しないほど広いということ。

メッサ勉強になります。
神奈川のこうさんから情報をいただいていました。ワイセコでピストンのスカートが割れてしまった事があったとのこと。

ワイセコを組む際は、スリーブとクランクケースがほんのちょびっと干渉するらしくて、組むには組めるけれど、エンジンが熱を持ったときに、スリーブがケースが干渉して歪が起き、ピストンのスカートが割れてしまったとのことなんです。
これがこうさんの加工時の写真。干渉しそうなところはザックリ削ってありました。


組めるけれど、走っていると熱で歪が生じる。なんと奥深い話でしょう。
こうしてスリーブとケースがぴったりくっついた愛姫ちゃんのケースを見てちょっと怖くなってきていました。
Z400FX TOPへ  NEXT STAGE

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