2011年2月11日の作業の時、カムにGPz400Fのものをチョイスしました。
2011年2月12日の作業でカムタイミングを再調整したときZGPベースエンジンに装着されていたZGPのカムに交換してみました。

折角カムタイミングを合わせたけれど2月11日の時より下もスコスコだし、どうも中速の伸びも悪い。もう一度元に戻さないとダメね〜面倒ね〜と思っていました。

換えなきゃいいのに・・。
あともうひとつ、私の愛姫ちゃんのエンジンのヘッドとTMRキャブのスロットルワイヤーアダプターは以前から干渉してて、TMRキャブ本体はしっくりはまっていないのでした。

この部分で干渉しているから、キャブは上部が押されて、インシュレーターが下に曲がってるという感じ。既に二次エアーを吸い込んでいる可能性もあるし、もしもそうでなくても、力がずっと加わっているから、ストレスがかかり、いつかはインシュレーターにヒビが入って二次エアーを吸う可能性もありました。
これを改善するためには、TMR32用延長スピゴットへの交換という手がある。けれどもオプションスピゴットは4個送料込みでで10000円以上はするのです。
もうひとつはこの部分に延長かませるという方法もある。スピゴットを延長するのではなく、インシュレーターを延長してインシュレーターごとキャブを後ろにさげるというもの。
2012年2月13日 ゼファー400純正インシュレーターを観察するとインシュレーターはゴムだけれど、根元にアルミ板が隠されていることに気づきました。早速皮むき開始(これは皮なんかっ?)

この季節は部屋も寒いし、インシュレーター自体も古くて風化してるのでカッターで剥くのは難儀しました。

ようやくひとつ剥けましたが、1つ剥くのに2時間かかるという手間の要りようだったのです。
ゼファー400純正インシュレーターに、インシュレーターの皮を剥いて出てきたアルミ板を重ねるのですから、寸法は全く同じで当たり前でした。
けれども2時間かけても表面にこびりついたゴムを綺麗に取り除く事が出来なかったのです。

この方法はお金かからないから素晴らしいアイデアと思いましたが、あと残り3個を続ける気力は私には残っていなかったのです。
2012年2月18日 ここで別なるアイデアを見つけました。Z400FXノーマルヘッド用TMR変換インシュレーターアダプター。これはTMRキャブを購入したときに付属していたパーツ。TMR前オーナーはZ400FXノーマルヘッドだったのでこれを装着していたのです。でもノーマルヘッド用だからポート径が小さい。

材質は鉄製。しかも厚みは6ミリもある。いい形してるのにな。
ところが、このアダプター、写真のように一晩中ヤスリで削り続けるも・・・(爆)

一晩中頑張っても、穴が広がったのはコンマ1ミリという手ごわさ。
穴を直径今よりも6ミリ広げるには、一晩でコンマ1ミリだから1個60日かかる計算。

つまり4個で240日かかる。



俺は脱走兵かっ!
インシュレータから取り出したものには、Oリングもついてるし、アルミだし、ゴムを剥くほうが早い。

でも、もう剥きたくない。

片方は剥きたくないし、片方は削りたくない・・。

そんなこんなで、インシュレーターアダプターを2個並べて悩む日が続きました。
2012年2月21日 伊勢のまっちゃんに相談することにしました。

まーしかしよく走ること・・。カムはまだZGPのものだけれどゼファー400POSHエンジンと比較すると実にトルクがある。伊勢までの道中、私にはこのトルクとパワーで十分だと何度も思いました。

POSHシリンダーピストン&ぬわわクランクで味わった幻の400メートルは確かにフロント浮くほどごっつかったけれど、このエンジンメニューもTMR32との相性もあて相当なものです。
「まっちゃん毎度・・。このインシュレーターアダプター、まっちゃんならどうする?」

「難しいチョイスですね。鉄もいいけどね。でもアルミの方にはOリングがいますよね。鉄をやっと削って、装着して2次エアー吸うのもサブいでしょうね。僕ならあと3つゴム取っちゃうかな〜。」

「このゴム、なかなか取れないんですよね。釜で焼いちゃおうかな?」

「まっちゃん、やりそう(笑)アルミも解けた・・なんてね。」
伊勢のまっちゃんの帰り道、この難題の事をずっと考えていました。
鉄のインシュレーターアダプター中央に空く穴の6ミリ拡大か、アルミのインシュレーターアダプターの皮剥きか。

双方ともつかみどころのない課題だったのです。
2012年2月22日9:42 BBSにMDCさんからリアホイール換装完了の書き込みがありました。

沼津はアダチさんが2008年10月に行ったシャフト17ミリに対し20ミリの2.5Jのリアホイールをベアリングアウターカラーを製作&装着する事で見事に仕上げた情報を得て、MDCさんもコツコツと伊勢の加工屋さんでカラーを製作してもらい頑張っているという情報は既に得ていました。
当時、この沼津はアダチさんの情報は私もリアホイールを少しでもワイドにしたい時期だったので目からウロコな情報でした。ホイールとベアリングアウターの間に圧入出来るカラーだなんて相当な精度が求められるだろうし、そういう精密なパーツを製作して頂ける加工屋さんが近くにあることが当時とても羨ましかった・・。それ以上に着けるためにやり遂げる気持ちも・・すごいなーと感動していた事を思い出していました。

そしてMDCさんが、この情報を得つつ三重県しかも伊勢でひとりこの難題をクリアした書き込みは素晴らしい事だと思いました。
これはグイグイ行くMDCさんの素晴らしさね(爆)

私はこう見えても職人さんの世界って一見(イチゲン)さんダメダメよ〜!みたいな固定観念があって、なかなか機械ありそうだな〜と思ってもなかなか門をたたくことは苦手なのね・・。津にも大きな造船所があるからこういう職人さんの工場はたくさんあるのでしょうけど、やっぱり怖い。「帰れ!」と言われそうで。

さて、そうなると、どんな加工屋さんなんだろう・行ってみたいなという思いがどんどん膨らんでいきました。
2012年2月23日 MDCさんから伊勢のワイエス精機さんで製作して頂いたという情報を得ました。早速電話をしてみました。

「大将はじめまして。松阪の松崎と申します。」

「はじめまして。どういったご要望でしょう。」

「バイクのキャブのインシュレーターに付ける金具なんですが鉄製で厚さ6ミリもあるんですが中央に穴が開いておりましてそれを拡大したいんです。」
「一度見させてください。夜の7時までやっていますので一度持ってきてください。」

「今晩お伺いいたします(爆)」

うひゃー。ちょっと楽しみだなぁ・・。ウキウキしました。

「こんばんわ。はじめまして。松崎と申します。」

「はいこんばんわ。お話のパーツはどちらでしょうか?」

「これなんです。」
「うーん・・。この鉄のものを削るとなるとちょっと大変だなぁ・・。チャックに嵌るけれど回転中にずれるかもしれないし・・。ビス穴がありますよね。いっそのこと鉄板にビス止めしてそれごと回そうかな。何日かお時間頂戴いたします。」

「そうですかぁ・・。」

「しかし、この鉄のはレーザーで切ってますね。6ミリ厚あるけど切り跡もとても綺麗だ・・。しかも塗装もしている。結構手間かかってますね。ウチもレーザーが売りですからレーザー使ったら一発なんだけどなぁ。残念だなぁ。」
「大将っ・・。」

「ひょっとして、これを削るのではなく、いちから作ってもいいのかな?」

「いちからでお願いできますか?」

「材質は、鉄、ステンレス、アルミがあるよ。バイクパーツだから軽量化の為アルミがいいかな?」

「アルミでお願い致します。」

「ちょうど、6ミリ厚の在庫あるね。ちょっと図面引くから待っててくださいね〜。」

大将はパソコンで5分位でCADで図面書いちゃった。
「松崎さんそれではこちらにどうぞ!」

ピューン!ジーーーーーージジジジっ!
ピューン!ジーーーーーージジジジっ!

「出来たね〜!」



ワンピースの黄猿かっ!

既にオシッコちびりすぎて、言葉も出ない。
「レーザーの場合はバリが出る。もうお店は閉店してますから、このバリは松崎さんが綺麗にお掃除してください。こうやって手で取れる位だから。怪我しないでくださいね。」

「大将ありがとうございました。感動しすぎておしっこちびりました。」

「若いときにね、バイクのステムつくりたくてこの仕事はじめました。でもステムは未だに一個も作ったことないんです〜。あっはっは〜。」

クールなギャグの持ってきかたがラパイドの大将そっくりだったり。
「実は作りたいものまだまだたくさんあって・・。」

「MDCさんのご依頼も面白かったね。ベアリングカラーなどは精密な技術がいる。フェックスって聞いてびっくりしましたね。皆さん大切に乗られています。同年代だからお気持ちが解るんです。ウチは腕のたつ職人が大勢います。溶接もしますし・・。僕もバイク好きなんですよ。だからという訳ではないけど、バイクパーツの依頼が結構多いんですよね。レースの為のワンオフパーツの依頼も沢山来ますね。町工場だから小回り利くから。またいつでもお越しください。」

「ありがとうございました。」
一見(イチゲン)さんダメダメよ〜と思ってた職人さんの世界。それは私の思い過ごしだったみたいです。本当に嬉しかった。

お値段のほうは、オプションスピゴットの半分位かな?とてもリーズナブルでした。

部屋に帰って精度の高さにびっくりしていました。バリもすぐに取れちゃいました。これは装着が楽しみになりました。
2012年2月25日11:16 この日のプランは、またまたヘッドカバーをあけてカムをGPz400Fのものに交換すること、ワイエス精機さんで製作して頂いたインシュレーターアダプターを一気に装着するという内容。

今月、何回ヘッドカバー開けてるのよ〜。そう思いました。
インシュレーターにアダプターをはめてみる。サイズバッチリ。でもネジの長さが足りないことに気づきました。
12:04 松阪のアピタまでネジを買いに行きました。

ポタポタポタ・・・。

あ・・雨やん〜。

愛姫ちゃんのヘッドカバー開けてもうてるやん〜。

あかんやん〜。

急いでネジを購入して戻りました。
12:26 早速作業再開。

アダプターをヘッドに当ててみる。

「メッサ光差し込んでるやん〜。あかんやん〜。」

伊勢のまっちゃんの言ってたことってこの事だったのね・。
続いてカムを外しました。ZGPのカムはこの幅をノギスちゃんで計測すると36.25ミリ。
GPz400Fのカムも36.35で全く同じでした。前にも書きましたがGPz400Fのカムの方がオムスビの円が丸いのです。つまりはバルブが空いている時間が長いということ。ハイカムとはリフト量が大きくてバルブがよく飛び出ることと思ってたけれど、それもあたりかもしれないけど、ZGPカムとGPz400Fのカムはリフト量は同じでバルブの空き時間が違うということだったのです。
14:30 こうしてカムは装着されていきました。
15:29 いよいよインシュレーターアダプターの装着完了。アキヤマ先生からお借りしている液体ガスケットをまたお借りすることになりました。
16:08 TMR32キャブが装着されました。今までは差し込んでも下に下がってたからバンドで思いっきり締め上げて行くという感じでしたが、今回は水平にスポッと簡単に嵌り、そのままストレスなくバンドを締めて行くという感じでした。
ヘッドカバーのところもギリギリではあるものの、クリアランスが保たれていい感じになりました。
16:49 装着完了。ちょっと流してきました。

カム交換の影響はてきめんでした。2月11日の時の走りに戻りました。下からも中速からの伸びも別物になりました。

それとキャブのレスポンスが数段向上していたのです。アクセルの開度に合わせて繊細なフィールを得ました。
2月11日の条件と比較するとカムは同じ、そこからカムタイミングの是正の分、インシュレーターアダプターの装着など様々なものが付随するため、単に何との比較かも解らない状況になっていました。

でも、キャブのレスポンスが良くなったので、ひょっとすると今まで2次エアー吸ってたのかな〜。それか、6ミリ延長分か、カムタイミングか。

やっぱりいっぺんにしちゃうとダメね。

結果オーライということにしておこう。
ただひとつ言える事は、家で作業するときは鈴鹿さん呼ばないかんな。

寂しくて寂しくて仕方がなかった(爆)
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