2012年2月11日 9:04 ついにこの日がやってきました。この日の目標は、シリンダー、ピストンを元に戻してエンジンをかけることにありました。

腰上だけとはいうものの、ヘッド、シリンダー、ピストン入れ替え、こびりついたガスケットの清掃、などなど様々な作業があるのです。大人4人がかりだけれどたった一日でエンジンをかけ走らせるという壮大なプランを慣行することになりました。

ひとり、ふたり、そして4人・・。エンジンを組み付けるたびに仲間が増えていく。正直言って素晴らしい仲間にめぐり合えた。っていうか、無茶苦茶ですね〜私。
9:30には鈴鹿さんがお見えになる。それまでに外せるもの外しておこうと早速段取りを開始しました。
9:30 鈴鹿さんがお見えになりました。

「まっちゃ〜ん、おはようさん〜。やってるね〜。しかし今日も寒いやんか〜。」

「おはようございます。前回に引き続き、今回もありがとうね。」

「今日は何とかうまいこといくといいね〜。腰下は自信あるんやろ〜。だったらきっとうまいこと行くに〜。大丈夫やに〜。なっとでもなるんな〜。ワシはまっちゃんから呼ばれたら何回でも来るんな〜!」
「なんと・嬉しいことを〜!マジで涙でるわ〜。今日はうまくいくといいね〜。」

9:56 ブリーザーホースから煙を吹いたPOSHエンジンの腰上が外されていきました。
10:09 いよいよPOSHピストンが姿を現しました。

「鈴鹿さんよ〜。ピストン真っ黒けだけれど、メッサ綺麗やん!やっぱりクランクメタルが焼きついてたのかな〜?」

「そう決めんのはまだまだ早いに〜。シリンダを外すまでは〜。ピストンリングを見てみよに〜。まずはそれからやに〜。」

この時、クランクメタルのガジりでクランクケースをまた割るのはもういやだ!と、そればかり考えていました。
たった400メートルを突っ走っただけ・・ちょっとしたアイドリングを行っただけなのにピストン上部がメッサ真っ黒に焼けていました。

こちらは4番ピストンの画像。
こちらは1番ピストンの画像・・。詳しくは解からないけれど、もの凄い熱が加わったような焼け方でした。

ひとひねりで重いZ400FXのフロント浮く位のトルクですからね。相当な爆発があったことでしょう。
10:20 POSHピストンを外しました。

「まっちゃ〜ん!ピストン、ヒビ入ってるやん〜。」

「鈴鹿さん、ま・・・・・・マジで・・・・?」

「これはやっぱり圧縮比高すぎたんですに〜。ハイサイさんの情報のとおりやに・・。やっぱり燃焼室の拡大が必須だったんやに〜。」

「エンジンごと、そのまま売れば良かったものに、うかつに手を出してしまった・・。私ってバカちんだな〜。やっぱり情報不足でしたね。」
POSHピストンは4個中、4個全て、この位置でクラックが入っていました。全てクラックの入り位置はピストンリングの切れ目のところ。仮説としては、耐えきれない圧縮にピストンリングが耐え切れず、ここに力が集中して薄い溝の部分が割れてしまった・・。

「鈴鹿さんよ〜、このピストン、まぁ★さんに溶接お願いして何とか使えるんかな〜?」

「あんたも懲りやんな〜。オブジェにしときない〜。オブジェ。」

「割れているかも知れないスペシャルピストンで出品・・はぁ〜。割れてるから売れやんな〜。もう・・・・。あ〜・・あ〜・・。」
「まっちゃん、そんなに落ち込まんときない。400メートルで停まってしまったのは、神様が教えてくれたことやに〜。なまじっか走れてて、高速で逝ったら命にかかわることやに。これもこの旧車の神様が教えてくれた教訓なんやに・・。」

「そうね〜。そう考えましょう〜。ポジティブやな〜。いいなぁ・それ。」

「ここからガスが下に漏れて、ブリーザーからガスが漏れてたとしたら、腰下には問題がないということやに〜。今日はいい日になるに〜。」

「そやなぁ・・そうだといいけどなぁ・。」
10:41 柴ちゃんとマサさん登場。

「柴ちゃん、マサさん、おはようございます。」

「おはようございます。何だかまっちゃん、元気ありますね。さて、どんな感じなのですか?」

「それがさな〜、ピストン全部割れてましたよ!」

「ぜ・・全部ですかぁ。全部なの?マジですか〜?」
「柴ちゃん、このピストン買う?」

「ははははは。何を言ってるんですか。この人は〜。」

「柴ちゃん、この人悪魔やでな〜。ほっときない。」

ここから柴ちゃんとマサさんはこびりついたガスケットのお掃除をお手伝い頂きました(爆)
私と鈴鹿さんはピストンに新品のピストンリングをはめていきました。

「まっちゃん、何しとんの〜。」

「鈴鹿さん、すっかりリングのはめ方忘れてしまいました。」

「かなわん人やなぁ。3年前経験してるやんか〜。」

「した覚えがないんさ〜。っていうか、全くといっていいほどやり方解りません。教えてください。」
「本当に困った人やなぁ〜。こうやって、こうやってはめるんさ〜。」

「なるほどなぁ・・。鈴鹿さんは何でも知ってるなぁ・・。」

鈴鹿さんは何で覚えているのかな?簡単にはめていく。多分3年前はミツトモさんか、エンジニアリング先生にして頂いているのである。私がやってても私が忘れているだけなのでしょうね。

こうしてピストンに新品ピストンリングがはめられていきました。

「まっちゃ〜ん、シリンダはどっちにするの?ZGPシリンダか、ZFX赤シリンダかな。」
「まだ決めてないんさ〜。赤シリンダには3年前、確かに2番に縦筋が入ってたんだけど、今回バラしたら消えてるんさな。ZGPベースエンジンのシリンダは綺麗なんさ。この際、ZGPシリンダにしようかと。それに当たったしな〜。ヘッドに。」

「赤で行こに〜。まっちゃんは赤シリンダやろ。筋も消えてるんやろ。大丈夫やに。ヘッドもGPヘッドだし。うまく行くに。」

「もう少し考えさせて・・。」
11:25 シリンダを愛姫ちゃんの赤シリンダにすることに決めました。2008年にクランキングしなかった赤シリンダをチョイスすることは大きな賭けでした。今回はヘッドが違う。それに賭けたのです。

マサさんは丁寧に赤シリンダのガスケットもお掃除を・・。

本当に有難い。
11:51 全てのピストンに新品リングがはまりました。

「皆さん、ご飯にしましょう。」

ここで皆さんと昼食を。
13:30 作業再開。ピストンがコンロッドに装着されていきます。
「今日僕は見物しに来ただけなんですけど・・。」

「柴ちゃん、ええ経験やに〜。」

鈴鹿さんと柴ちゃんコンビでピストンはひとつずつ装着されていきました。
「へぇ〜、こうなってるのですね・・。」

「案外地道で細かい作業なんやに〜!」

「鈴鹿さん、これはすごいですね〜。初めて見ました〜。」

「柴ちゃん、マサさん、鈴鹿さんの手はゴットハンドでしょう・・。素晴らしい技術なんやに。よーく見ておくように。」

「まっちゃ〜ん!あんた〜写真ばっかり撮ってないでさぁ〜。」
「何か問題あったん?(爆)」

「それが3番のピストンピンが入らないんさ〜。」

「柴ちゃん、トンカチを鈴鹿さんに渡してあげなさい。」

「まっちゃんは総監督なんだ〜。」

「違うに・MDS★WEB撮影係です(爆)」
「柴ちゃん、かなわんやろ、このオッサン。」

「はははは〜。いつもこうなのですか?」

「まっちゃんは、手を使わず、全て電動やに。怖くて見てられんのさ〜。」

14:05 アルミ板をピストンに巻きつけて、タイラップで締め付けていきました。
タイラップは3回目のシリンダ装着で再利用可能なものに進化していました。これは締めたタイラップをニッパーで切るのが面倒なのと、本体毎外せるのでクランクケースに落ちる心配がないというところからです。

「まっちゃ〜ん、なかなか考えたやんか〜。」

「鈴鹿さんよ〜。ワシも何だかんだ言ってTOYOTA式KAIZENしてますんやに〜。」

14:11 いよいよシリンダー装着作業。ここでMDC777さんがおみえになりました。
「皆さん、やってますね〜。」

「伊勢からわざわざありがとうね。今一番いいところですよ〜。」

「まっちゃ〜ん。これはなかなか素晴らしい方法やな〜。」

コンコン・・・。

「入らないなぁ・・。何でやろ。」

なかなか入らないシリンダに、5人とも不思議。
「ここまで来たのに、どうしてシリンダー入らないのかな?」

「1番もOK!2番もOK!3番もOK!4番もOKやに。完璧やのにな〜。何でやろ。これ以上全く入らんのさ〜。」

「何で?」

「鈴鹿さん、どうしようか?」

「おかしいなぁ〜。完璧やのにな〜。」
「まっちゃ〜ん!テンショナーのところから何かベロみたいの飛び出てますよ〜。」

「ブッ!!柴ちゃん、あ・・・あかんやん〜。またやり直しやん〜!!」

これは必死にシリンダーをはめてたらおしっこちびりな事なんですけど、再利用可能なタイラップと、ノーマルスリーブの厚みもあって、さほど苦にはならなかったのです。

再度シリンダーを抜きました。
14:17 いよいよ2回目のシリンダ装着作業完了!

いい感じですね。
15:08 ヘッドが載りました。
15:33 全てのカムプラグを規定トルクで締め付け、いよいよクランキング確認。
2008年の悪夢が蘇る。

「神様仏様・・。お願いですからクランク一周してください。」

シュルシュル・・。

キタ━━━━(゜∀゜)━━━━ !!!!!
15:43 最後の作業に。

「まっちゃん、良かったやんか〜。」

「鈴鹿さん、ヘッド装着してクランク一周廻っただけで、涙が出るほど嬉しいな。」

「まだ安心は出来ませんに・・クランクメタルガジリの可能性もあるでな〜。はやいところ、エンジンかけないとね。楽しみやん〜。」

この時間を境に、冷たい風が吹きつけていました。
16:20 鈴鹿さんとマサさんがマフラー装着を。

私と柴ちゃんがキャブとイグニッションコイルを装着。

超スピードで組みつけられていきました。
16:30 いよいよガソリンタンクを残すのみになりました。

エンジンは赤シリンダーもあるけれど、GPヘッドとの組み合わせはやっぱり誰がなんと言おうと渋い。

気づくの遅いわっ!
16:44 エンジンをかける。

キュルルル・・ボボボボッ・・ボーーーーーッ!

「まっちゃん、おめでとう!煙も全く出ていないですね。おめでとう!」

「ありがとう!皆さん本当にありがとう!」

何だか今までが長かったから、何だか涙が出てきました。クランクからの音も全く出ていない。煙も出ないし、ブリーザーからの内圧も全くない。
こうして作業は終了しました。一周してきました。まだキャブセッティングは出ていないけれど、TMRとの組み合わせで下から突き上げてきました。これからが楽しみです。POSHエンジンは失ってしまったけれど、これも経験、貴重な財産になりました。

本当に素晴らしい一日になりました。鈴鹿さん、柴ちゃん、マサさん、MDC777さん本当にありがとう。そしてパーツを届けてくれたアキヤマ先生、本当に御礼申し上げます。
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