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2008年9月24日作業49日目。ついにクランキングしないエンジンをクランキングさせる日がやってきました。この日の為に様々な情報を集めスペシャルな加工をしました。
クランクとピストンだけの姿を見るのはこれで2回目・・。正直、精神的に疲れ果てていました。

「また当たったらどうしようか・・。」

そんなことばかり考えている自分がいました。気が付くとマイナス思考になっていました。
そうしてシリンダは載せられていきます。
何度もやっているうちに、この作業もだんだん慣れていました。シリンダへのピストンリングの押し込みも、苦にならなくなっていました。
「すぽっ!」

「入りましたね〜!」
そうして、ヘッドも乗せて規定トルクでしっかりと締め付けていきました。
カムの位置をあわせて、カムプラグの締め付け。
「さあ、やってみましょうか・・。」

「やってみましょう。」

そう言ってクランクを廻しました。

キタ━━━(^( ゚∀゚)^)━━━!!!!

ついに来ました。長いトンネルを抜けた瞬間でした。
今回の作業で初めてヘッドカバーを装着しました。うう、綺麗。
角型ヘッドに角型ヘッドカバー。

当分このアングルで眺めていました。

「クランキングはしたけれど、セルも無事に廻って欲しいなぁ・・」

「大丈夫でしょう、まず大丈夫ですよ。」

そんな会話でこの日の作業は終了しました。
2008年9月27日作業50日目。この日はエンジンをかけることを目標にしてガレージに向かいました。

「まっちゃん、カムにモブリデンかけておいたほうがいいよ。」

ということで、早速、ヘッドカバーをもう一度外してモブリデングリスをカムに塗りました。
注文しておいたGPz400F用インシュレータ新品。Z400FXのものと比較してひとまわり大きい。穴も大きい。ネジ位置も広い。
ひとつひとつ装着していきました。
インシュレーターを全て装着してさて、CRをつけようと思いましたが、スピゴットを注文していない事が判明。

サブ!
部品がないものは仕方がないから、キャブ以外を全て終わらせようと頑張りました。
次から次へと装着されていくパーツ。
今回、マフラーのスタッドボルトも新調。かなり輝いている。
この日はCRキャブ以外全て装着することが出来ました。
いよいよエンジンをかける日を待つのみとなりました。
2008年9月29日作業51日目。GPz400F、Z400GP、ゼファー400用のスピゴットを購入しようと思っていましたが、ミツトモさんから昔Z400GPに使用していたXJ400用のスピゴットが出てきたと聞き、早速装着してみることにしました。

左がXJ400用。右のZ400FX用と比較してひとまわり大きいことがわかります。
横から見たところ。
メタルコンパウンドで磨きまくりました。ピカピカになりました。
やっと装着しました・・・CRキャブ。

久しぶりです。

セルも無事廻りました。
あとはマフラーを装着すればエンジンがかかるところまできました。
2008年10月4日作業52日目。XJ400のスピゴットを使用したのでGPz400Fのものよりショートになり、CRキャブのワイヤー止めがヘッドに干渉するため、ミツトモさんにワイヤー止め部分を加工して頂きました。
純正と比べて、引きと戻しのナット位置が、かなり短いことがわかります。
そしてマフラーが装着されました。
さすが・・と思わせるスペシャル工具。くねっと曲がっていてナットが廻しやすい。これはすばらしい工具でした。
続いてCRキャブのリモートアイドリングアジャスターを装着。
これは見栄えもいいしかなり重宝するアイテム。

「さぁ、まっちゃん、廻そうか?」

「やりましょう!」

こうしてエンジンはかけられようとしていました。
セルを回す。

ボッボッボッボッボ、ブオー!!!

一発でした。

久々に聴くサウンドにおしっこちびりそうでした。
いよいよ外に出すことになりました。
その時エンジニア先生がおみえになりました。は今日はCBX400Fで登場。
「かかりましたか?」

「はい、ありがとうございました。」

「よかったなぁ・・。」
それからエンジンの音などチェックしていただきました。
「いい感じじゃないかなぁ。本当によかったなぁ。」

「ありがとうございます。」

「今度バルブの擦りあわせする時は自分でしなよ(笑)」

「は、はい。すいませんでした。」
それから各部締め付けを行い、いよいよ走れるようになってきました。
こうして改めて見てみると、かなり派手・・。でも何か不思議な魅力を放つマシンになりました。
当初からこの写真がモデルでした。いろんな人からいろんな事を言われたけれど、考え方を変えることなく最後まで出来てよかった。
ライトの中の配線も綺麗にしました。
フレームのブリッジ溶接がこれまたエキパイに埋もれてていい感じになりました。
シリンダーブロックのレッドがまぶしい。当時のKawasakiの開発者は、どうしてFXリミテッドでこんな事を思いついたのかな。すごいセンスだと思います。
ミツトモさんが試運転を。ノーヘルやがな。

「僕のと比べると足廻りふにゃふにゃやわ。」

「ミツトモさんのは前後ZXR400ですからね〜。」

「ノーマルってこんなんやったんやなぁ。でもまっちゃん、これ強化スプリング入ってるんよね?」

「入ってても柔らかく感じるはずですよ。」
そんなこんなで、こうして時は過ぎ去っていきました。
一時退院を明日に控え、ヨシムラデジタルテンプメーターが装着されました。
2008年10月5日作業53日目。一時退院当日。朝からミツトモさんのお店に伺い、最終チェックをしました。

「そろそろ行きますわ・・。」

「全てのボルト、ナット類が緩んで外れる危険性がありますから、無理しないように。」

「了解です。」

こうして6月7日から10月5日まで、延べ121日の長期入院から一時退院をすることになったのです。
ミツトモショップから我が家までの25キロの距離の間に、様々な事を思い出していました。こうして121日振りに私の愛姫は一時退院でガレージに戻ってくることになりました。
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