2008年9月4日。エンジニア先生からBBSにメッセージを頂きました。

「ようやく、バルブすり合わせが終了しました!私の手のひらはたこ棒ですりすりした為、死にそうな位、手のひらが痛いよお〜!松ちゃん自分ですりすりしろ〜〜!!明日ヘットを洗浄して組み付けに入ります!それから、第二段の難関、シム測定し、クリアランス取り、また、分解してシム調整に入ります。俺を、殺す気かー!!めんどくさいけど、好き物を、うまくあなたは、捕まえましたね!私の作品もまた、見といてね!! http://www.ztv.ne.jp/benben/ ほんの、1部です。!」

ヘッドはエンジニア先生のところですごい作業が続いているようでした。何と申し上げていいのか言葉が見つかりませんでした。
2008年9月5日作業43日目。ヘッドが来るまでの間、できる事はしておこうと、この日は塗装したクランクケースにクラッチカバーなどパーツをつけていきました。
ピストンもカーボンで真っ黒。ピストンリングも新品が届いていました。しかし自分では何も出来ませんでした。したいんだけど怖くて出来ない憶えようとしたらしなくちゃいけないんですけどね。。
2008年9月8日。私が仕事をしている間、昼間にエンジニアリング先生が来てくれていました。

ピストンリングを押さえる専用治具も作成してくれていました。

作業はミツトモさんも手伝ってくれていました。
シリンダはオイルストーンでピカピカに。

シリンダ内側もペーパーで磨いて頂いたとの事。
いよいよシリンダが装着されました。

写真を見ると、ピストンの上部がピカピカになっています。

後で聞きましたが、リングの溝も磨いて頂いたそうなんです。
はやくも、エンジンはフレームに乗っかっていました。真っ赤なシリンダがクランクケースに載っている。す・すばらしい。
そしてヘッド・・。黒、赤、黒、赤、赤。俳句かい。
こうしてエンジンは無事フレームに乗った様子。
サービスマニュアルにあるカムチェーンの位置。この部分を残して作業は次の日に持ち越しとなりました。
2008年9月9日作業44日目。この日も仕事を終えてミツトモショップへ。昨日はお逢いすることが出来なかったエンジニアリング先生。

今日はおみえになられた。

「ドドドドドドッ。」

なんですかぁ。このバイクわぁ。
RS250って言うのかな?なんていうバイクなのかよく聞かなかったんですけど、パールロードでメッサ速いとのことです。
圧縮比が高すぎて、キックペダルが曲がっていました(爆)

250とは思えない音。

一度高見の頂上で出逢ったCB400も同じようなオーラが出ていました。
懸案事項だったカムの位置について、アキヤマさんや、いろんな人の情報を集めました。まず確定だったのですが、非常に大事なところでもあるので、最終はお店にあるミツトモさんのFXのヘッドを開けさせてもらい確認しました。
FXエンジンの腰下にGPz400Fのヘッドを載せることはいわゆる定番メニュー。けれどもこの辺りのところはまだまだ情報不足でした。
シムのクリアランスの最終チェックを。サービスマニュアルのクリアランス表を見ながら全てOKであることを確認しました。
いよいよクランクを回してチェーンをかける作業へ。

ガコンッ・・!

「おい、あ、あかんぞ!あかんぞ!」

クランクが回らない。ピストンがヘッドのどこかに当たっているようでした。

「・・・・!」
もう少しのところで・・・。

絶望感に浸りました。

この日もアキヤマ先生にお電話を・・。GPz400Fのヘッド換装はFXの世界では定番メニュー。アキヤマ先生も現在までこのメニューをこなしている。けれどもクランキングしないなんて事はなかったとの事。謎は深まるばかりでした。話しているうちに、ゼファーのピストンが若干形状が違うらしいことを突き止めました。急いでいたので早速注文することになりました。
2008年9月11日作業45日目。ゼファーピストン到着前夜。シリンダとピストンを外しにお伺いしました。
悔しくて何度もヘッドのチェックをしていました。

写真はZ400FXのヘッド。

燃焼室のキワは丸い形をしていて、バルブの端もヘッドの下面から飛び出していないのが解ります。
こちらが今回クランキング時に当たったGPz400Fのヘッド。燃焼室のフチが丸い形になっていないこと、バルブは若干ヘッド下面から顔を出している。顔を出しているところに、見事にピストンに当たった跡があるのです。
今回少し前にバルブガイドを割ってしまったZ400GPのヘッド。こちらの燃焼室のフチもほぼ丸い形状をしている事がよく解る。つまりはこのZ400GPのヘッドなら当たっていなかったともとれる。だったらこれを使おうかとも考えた。でもこのヘッドはバルブガイドが割れているんです。
こちらがGPz400Fのピストン。ワイセコか〜と思わせるほど、ハイコンプな形状。リセツの切り分も深い。

Z400FX→Z400GP→GPz400Fとパワーを上げるために、ピストン形状や燃焼室の形状を変更し続けてきたKawasakiの努力の足跡が見えるよう・・。

「今回のカスタムは奥が深い・・・・。」

こういった形をみていると、そう思わざるを得なかった。
その日はミツトモさんの手によってピストンが次々に外されていきました。
明日が勝負となりました。

なんとか当たらない事を祈りつつ・・。
2008年9月12日作業46日目。いよいよアキヤマ先生が時間をさいて必死の思いで送付してくれたピストンを装着し、クランキングを試す日がやってきました。

装着してクランクを回してみました。

「ガコンッ!」

「あ・あかん、ダメだ・・。」
ピストンでもなかった・・。

アキヤマ先生には本当に悪いことをしました。

このヘッドの前オーナーがパワーを得るためにヘッドの面を削って圧縮比を高めていたのかもしれない。

このメニューでピストンが当たったというデータは無い。もうそれくらいしか考えられなかった。
2008年9月13日作業47日目。京都行きを明日に控え、この日の夜は非常にブルーになりました。

アキヤマ先生からお電話を頂きました。

「GPz400Fのヘッドをもう一度仲間にお願いして明日ミツトモさんのお店に到着します。その形をまず私が送ったヘッドと見比べてみてください。もしもハイコンプじゃなかったとしたら、14日昼中に組んじゃえば夕方から京都に行けますよ。」

「本当にすまない。」

何から何まで申し訳ないと思っていました。

2008年9月14日作業48日目。アキヤマ先生の友人である東京の佐々木さんからヘッドは届きました。でも今回のヘッドと全く同じ形をしていました。

「GPz400Fは全てこの燃焼室の形をしていたのか・・。だったら、何なんだろう・・。」

完全に迷宮入りしました。

こうして14日は何もせず京都に出発することになりました。
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