2008年7月9日作業16日目。ミツトモさんのお店のパソコンでたまたまGoobike.comを見ていたとき、偶然サブつぼ出まくり、おしっこちびりマシンを発見してしまいました。この写真を見てから感覚がおかしくなりました。バックステップや、モナカあたりが私の愛姫に似ている。でも何かが違う。ホイール・・・。こらぁ!ぢゃなくて、リアサスの角度。戦闘的にも見えるし、けれどもリア下がりでFXらしさも残している。マニアックすぎて説明が難しい。

よく見てみるとサス受けはパイプまで行っている。そうすることでサスの角度はさらに鋭くなっている。もっとすごい事は、シート下あたりがやたらとすっきりしている。ノーマルサスがついているはずのサス受けのガセットまで取り払っているところ・・。超オリジナル。
自分の愛姫ちゃんを思い出していました。GPz400Fのスイングアームに換装した際、ノーマルよりも5センチ長いサスに、スイングアームサス受けを後ろに下げたから、フレームのノーマルのサス受け位置でもレイダウンに見える。

でもスイングアームのサス受けがノーマルスイングアームやウエダレーシングのスイングアームのようにアーム断面中央に来るのではなく、ゼファー400のサス受けを溶接して上げている分、リア上がりになっていた。
Stage88で1回目のレイダウン作業を行った時に、そんなことは理解していたはずだし、入念に位置決めをしたはず・・。その結果、PMCのレイダウンサス受けキットを装着して3センチは前に出すことが出来た。けれども組み上げる前にトップの画像を見てしまったのです。
「ミツトモさん、リアのサス受けなんですけど・・。」
「まっちゃんさんの顔見てたら何がいいたいか解った・・。」
「解った?」
「この先フレームを現在のようにする機会はまずないでしょう。またフレームを綺麗にしてからしたくてもそう簡単には出来ない・・。今、未練を残すとずっと後悔することになります。やるなら今ですよ。やりますか?」
「いいかな〜。」
ということで、フレームからサス受け部のガセットは切り取られていきました。
PMC製のサス受けキットに、リアサスがつく事はなかったのです。
Z400FXユーザーでこの部分をあまり見ることがないからアップで。ピポットから後ろに伸びるパイプは断面そのままなんです。トップの画像のユーザーの方は、ここの斜めの隙間をを溶接で埋めただけだと思います。

このままだとシートやテールカウルを支える強度は鉄パイプ1本になる。それもいいかなと思いましたが、小さなコの字ガセットで補強することにしました。
「まっちゃんさん、後ろのウィンカーステーに溶接された荷かけフック・。これどう?」
「E1のミツトモさんのにはないなぁ・・。」
「まっちゃんさんのFXを見たとき、これは不自然だと思ったんです。」
「これ辞めるとゴムバンドヘビーユーザー卒業せないかんなぁ。この際切っちゃいましょうか。」

ギュイーン!!

決断早っ!作業早っ!
死んだピクミンみたいになっとるがな。
こうして切り取られたサス受け部と荷掛けフック。折角エポキシプライマーまで塗っていただいたのですが、改めて見てみるとむなしいものです。
2008年7月11日作業17日目。ステンレス製コの字ガセットが届きました。
ノーマルと比較すると大きさの違いがよく解ります。
ベルトサンダーでピッタリ合うように削っていきます。

会社が終わってから夜にツナギ着て何してんだか・・。
なかなかピッタリ合わなくて苦心しました。
ぴったり合ったところで、ネック部を溶接いただいた溶接専門のお兄さんの登場。
いよいよ溶接がはじまろうとしていました。
ジーーーーッ!

いよいよ溶接がスタートしました。

直接見ることは出来ない。
すごい閃光とともに溶接は続いていきました。
かなりの長さがあったこと、丁寧に仕上げていただいたことで、溶接作業は長い時間を有しました。
いよいよ仕上がったコの字ガセットの溶接。
続いて荷掛けフックの溶接がはじまりました。
こうしてコの字ガセットと荷賭けフックが装着されました。
ほんの数センチ前に出るだけなんですけど、フレームに穴を空けるためだけに行われた作業はこうして終了していきました。
ノーマルと比較するとかなり小さいことが解ります。仕上がりはかなりオリジナリティ溢れるものになると確信していました。
その日は、出していたクロームメッキパーツも到着していました。白でお願いしていたのですけど、本当に白い。フロントのキャリパーサポートなどは見えるパーツだけにいい感じになりそうです。
2008年7月13日作業18日目。その後、午後4時にミツトモさんのガレージへ向かい、サス受けの位置決めを。
沼津のアキヤマ先生のサス受けの画像が届いていました。

「これはごっついなぁ!」

「ここまでは行けませんね〜。」
「ノーマルの位置から10センチは前に来てますね〜。」

「どうしましょう・・。」
「ここまでいこうとすると、アキヤマさんのように補強ブリッジをもう一度溶接するしかないなぁ。アキヤマさんの画像をよーく見るとサス受けの位置がえぐられていますね。」

「サスが【ソ】の字になるのを抑えるための技でしょうね。」

ということで、先生の画像を参考にしながら位置は決まっていきました。
「まっちゃんさん、ボクはここがいいと思いますよ!」

「そうですね〜、かなりサスはいい動きするかと・・・あとすごーく前下がりになってセパハンにしたらかなり戦闘的にな・・あかんやん!それスーパーカブやん。」
「このあたりから下げるとサスが【ソ】の字にりますね。アキヤマさんのようにフレームをえぐることも出来ますがどうしますか?スイングアームのサス受け位置を広げることも出来ますよ。」
「ゼファー400のスイングアームのサス幅がピッタリやったりしてなぁ。」
「ここまで来てまたゼファー400のネタですかぁ。」
「冗談ですぅよ。ここで出したら皆引くだろうなぁ。Stage92エキセントリックみたいな。」
「サブすぎですやん・・。」
「まっちゃんさん、実はこの位置だと同じサスで行くなら車高下がりますよ。」
「静止状態で下がるの?」
試してみると確かに2センチほど下がる。スイングアームのサス受けを軸としてガセット位置にあるノーマルサス受け位置の円周より外の位置になる。

「後はサスの長さと強さで微調整しましょう。」
「そうしましょう・・・。」

ということで、サスを仮付けして、後ろから見ながら、サス受けの位置は確定していきました。
いよいよ穴が開けられていきました。この作業はこれで二回目。

「何度もすいませんね。」
「気に入らないなぁ。」
「何で?」
「ボクのよりカッコいいのが気に入らない。」
「そっちですか〜。」
「一度フレーム塗装しちゃうとね。時間的になかなか出来ないんですよね。そういった意味でうらやましいなぁ〜。」
「えらいすいません。」
「まぁ、今度ボクのするときに、まっちゃんさんのが見本になりますからね〜(笑)」
「はははは・。」
ロッドをさして、平行を見ながら、逆側も慎重に穴は空けられていきました。
その後、サス受けが来るところで計測を。フレームの強度は左右ガセットでかろうじて守られるといった感じでした。ミツトモさんは何度も計測を重ねていました。
「またPMCさんのサス受けキットを買わないとダメですね。」
「いや、あれはもう使わないんですよ。」
「そうなんですか?」
「ここまで細い鉄パイプに大きな穴を空けると、パイプ両脇の肉厚が薄くなって強度が足りないんです。それは溶接しても同じこと。強度が心配なのも理由のひとつなんですが、肉厚が少ないところへ、セパレートで片方づつ溶接して少しでも左右のサス受けの方向がずれるとさらに危険率は高まるんです。だから、今回は限りなくサスの内径14ミリに近い鉄の棒を1本で作って、互いに鉄パイプのセンターに来るように完全に位置を合わせて差し込んで溶接してから、内側を切り落とす方法で行きます。」
「すごい話ですね。」
「溶接による歪みを考えるとどうしてもそうしたほうがいい。完全にストレートになりますしね。まっちゃん★三重さんのFXですしね〜(笑)オールコートミツトモスペシャルメニューですわ!」
「申し訳ないなぁ。」
「オーナーがもう少し軽かったら何も考えないんだけどなぁ。」
「そっちかい!」
みたいな。
「問題は14ミリの棒を差し込んだとして、サスの内側がフレームに当たることです。ワッシャも能が無いし、どうしたものか・・。ふむふむ。」

この時ミツトモさんはワンオフでパーツを作成する為のメモをとっていました。この時は私もどんなパーツをお願いしているのか知らなかったのです。
2008年7月14日作業19日目。サス受けのパーツが出来上がるまでの間、フロントディスクのブラスト作業にかかりました。
写真では解らないけど、これが大変な作業。微妙に入り組んでいてなかなか塗装が落ちない。1枚あたり1時間以上はかかるだろうか。会社が終わってからお伺いとなると、1枚でせいぜいなんです。
2008年7月16日作業20日目。ようやく2枚目ディスクのブラスト作業が終わりました。
2008年7月17日作業21日目。この日はミツトモさんと一緒にサス受けのパーツをお願いしているショップに出かけました。
すごい機械がそこにはありました。
「もっちゃん、モノは出来ていますよ。」
「ありがとう〜。」
「ところでこのお方は・・?」
「この方のフェックスのパーツなん。この方面白いんですよ。」

どんな会話じゃぁ〜。
その後ガレージに戻り、シミュレーション。
ミツトモさんがお願いしていたもの・・。それは棒の両端にボルト穴を設けて、サスがちょうど入る様に両端14.0ミリに加工された直径14.5ミリの棒だったのです。
14.5ミリの棒の両端を14.0ミリに加工してある部分。手で触っても片側0.25ミリの段差はちょっと指に引っかかる程度。
実際にオーリンズをはめてみると、14.5ミリになっているところでサスはそれ以上奥に行かないようになっていました。

「まっちゃんさん、計算どおりですわ〜。」
「0.5ミリの段差なのに、うまく止まるものですね。」
「今回は随分考えましたよ・・。でも計算どおりでよかった。奥までいっちゃったらどうしようかと。」
「ありがとう。」
「まだ問題はありますよ。」
「何?何なん?」
「溶接時にこのボルト穴が歪んで刺さらないとか、だからダミーボルトを差したまま溶接しましょう。」
「そんなことがあるんですね。」
PMCのサス受けキットは無駄になってしまったけど、このカラーとボルトは流用されることになりました。ノーマルのナットよりはカッコいいかな?
いよいよワンオフパーツをフレームに差す作業が始まりました。穴を広げるサンダーで念入りに穴を広げていきます。
「ミツトモさん、これは道具がなかったらキツイ作業ですね。」

「多分丸1日はかかると思いますよ。」
何度も両側の穴の位置を確認しながら穴を広げていきました。1本のロッドじゃなかったら入りました!とすぐに終了するであろう作業・・。右は刺されど、左は刺さらず。左は刺されど右は刺さらず。ほんのコンマ数ミリの違いでも反対側で5ミリはあわない。当然の事なんですけど、このやり方だったら間違いなく左右同じ方向に行くはず。

リアサスの取り付け部分は体重80キロのオーナーがコーナー中にビクンビクンした時にかなりの荷重がかかるはず。そう考えると正確な取り付けこそ安心で重要なところだと思いました。
かなり入念に削った末、ようやくロッドが貫通。

「やっと入りましたね。」

「これ、セパレートなら揃えるの不可能ですね。」

「溶接による歪みを考慮するとかなりの効果ですよ。私ながらいいアイデアかな。」

「ホントすいませんね。」
「サスを仮付けしてみましょう。」

「そうしましょう。」

ということで写真のようにセットしてみました。
「ピッタリじゃないですか。」

「いい感じですね。念入りに計測した甲斐がありました。1本のロッドにしたメリットはここにもあるんです。これは溶接頑張らないといけませんね。」
「ダミーボルトを差しましょう。」

「そういうことですか。」

「そういうことです。あいにく鉄のボルトがないからステンで行きます。ステンだからくっついちゃう可能性もありますけど、その時はその時で何とかしますわ。」
そうして2回目のレイダウンの為の溶接作業はスタートしていきました。
「なんかダースベイダーみたいになってますよ。」

「このカッコは汗対策なんだから写真撮らないでね。」
「14.5ミリから14.0ミリになる境を越えたら努力の甲斐がないから、緊張しますね。」

「奥まで行かないと言う事ですね。」

「そう。結構リスクの伴う作業です。」
パヒューン・・・。ジーーーーッ。ティグの独特のサウンド。

「まっちゃんさん、明日仕事でしょ。直接見たら絶対あかんに。目焼けるで。」

「前回も痛くて痛くて・・・。」

「見たんや。」
歪み防止の為に差し込んだダミーボルトの根元から煙が。

「火事や。」

「ネジを切るときに、オイルを使用しています。そのオイルが溶接の熱で引火しているんです。しかしなかなか止まらないなぁ、この煙・・。」

オイルの焼ける匂い。独特の香りがします。
ボルトが固着していないかチェックを。サス受けのパーツは写真のように綺麗に変色していました。相当な熱がかかっていると思いました。
「そろそろ出来上がります。」

「いよいよですね。」
いよいよ取り付けされたリアサス受けロッド。溶接の熱でフレームは広範囲にわたり変色していました。
「早速サスを仮付けしてみましょう。」

「そうしましょう。」
「おおぉ〜。いい感じですね〜。」
こちらがStage88レイダウン作業その@の時の画像。
今回の作業でさらにサスの角度がつきました。車高も2センチは下がりました。私的にはこれくらいの角度が理想だと思います。サスをつけて走る日が非常に楽しみです。
今回見本にさせていただいたトップ画像。(左右反転にしてあります。)サス受けの取り付け位置はほぼ同じながら角度が微妙に違うことが解ります。スイングアームの垂れ角などを考えると、スイングアームのサス受けの部分でも極限まで後ろまで下げているかもしくは短いサスをチョイスされているかというところ。
同じGPz400Fのスイングアームを使用しているアキヤマ先生の画像。同じGPz400Fのスイングアームでトップ画像と同じくらいの角度まで追い込んでいる・・。凄い!という言葉しか見つからない。
Z400FX購入時にネットでこのFXの写真を見たとき、リアサスを見て、フレームにつけてんのか〜こんな事が出来るんだとよく思っていましたが、購入して4年、こうしてミツトモさんのガレージで現実にしているのである。
カスタムには実用と見た目のセンスもあると思います。私の場合まだ乗っていないからわからないけど、2度目のレイダウン作業でかなりの感触を得ました。ミツトモさんには手間をとらせて申し訳なかったけど、でも思ってたことがかなって本当によかったです。
「まっちゃんさん、そろそろロッドを切り落としますよ。」
「何だか切っちゃうのもったいないなぁ・。」←でた!
「残しますか?残してもいいんですよ。」
「残したらどう?どうなるの?」
「力が加わるこの部分でフレームのブリッジが出来る訳ですから、強度的にはGOODだと思うんです。けれどツインサスの場合応力が逃げないと危険な場合もある。」
「逃げない?」
「そう・・。リアタイヤからの挙動全てをここで支える訳ですが、Z系のフレームはリアで逃がしている部分もあるんんです。今回の強化溶接もそう・・。Z400FXは特にネック部に弱さがある。だからまっちゃんさんのFXもネック部を重点的に強化したけど、ピポットやリアは強化しなかった。実はこの部分を強化していい効果が出たという情報はないんです。特にまっちゃんさんのFXはノーマルの足廻りですしね。」
「足で違うんですか?」
「そう・・。Z系のフレームはガッチガチにしすぎるとダメなんです。簡単にいうとハイサイドを起こしたりする。ある程度逃がしを作らないとモロに挙動に影響がでます。鉄パイプフレームのメリットはある程度しなりを意識して、逃がすところは逃がすことが大事なんですよ。」
「なんや、○○サンク○ュアリーみたいな話ですの!」
「大事なところですよ。6月1日のまっちゃんさんの走りを見てて、私もいろいろ考えているんですからね・・。」
「すいません(謝)皆からはライディングフォームバカにされてましたけどね。」
「はははは。あのバイクの角度であの上体の入れ方はないだろうって(笑)でもね、私もFX長いから解るんです。ああせんと曲がらないことくらい。」
「なんや、初めて誉めてもらった気がするわ〜。」
「誉めてはいませんよ(爆)」
「ガクッ!」
「但し、フレームガッチガチにしすぎて、あんな乗り方したらハイサイド起こします。細くて大きなタイヤに全てのトラクションを任せることになります。これで意味は解ってもらえたでしょうか?」
「やっと意味が解りましたわ。」
「だったらどうしますか?」
「切りましょう。もったいないけど。」
「まだ言ってるし・・。」
ということで早速ひとつなぎのリアサスロッドは切断される事になりました。
「今年は花火大会行かなくて済むわ・・。」

「・・・・・・。」


「すいません、作業中に。」
「なんや、魚肉ソーセージみたいですなぁ。」

「ここだけピンク色に塗りましょうか?」
「錆びちゃうから、もうエポキシプライマー塗っちゃいましょう。」

ということで、すぐに塗られていきました。
こうしてレイダウン作業そのAは終わろうとしていました。
いよいよフレームの塗装を待つだけとなりました。
Z400FX TOPへ  NEXT STAGE

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