2008年6月14日作業4日目。この日は土曜日会社もお休みということもあって、朝からモンキーでミツトモさんのお店にお伺いしました。ミツトモさんのFXが止まっていました。

「まっちゃんさん、ちょっと乗ってみますか?」

「いいの〜?」

ということで少し走りに。
「よっこいしょっ!」

メッサ軽いがな・・同じバイクなのに、足廻りだけで随分違います。

Z400GPエンジン、Z550GPクランク、ワイセコ、ポート面研、FCR31、ゼファー400クロスミッション、ZXR400前後、QUANTUMリアサス、オートマジックBS、油圧クラッチという目からウロコな仕様。まだ慣らし中なので、5000回転まで。

「代替でヨシムラサイクロン着いていますので静かですが・・。」
「了解!」
フィーン・・!フィン、フイーーーーン!

凄い低速トルクとレスポンス・・。ワイセコってこんなんだなぁと回していないけどすぐに違いを感じる事が出来ました。特にFCR。CRとは性格は全く違う。ガバッと開けてもついてくる。

フォーーーーン!

あかん、5000以上行きそう。性格上廻したくなる。クロスミッションなので456速が殆ど同じギアレシオ。これは性格が違いすぎる。
「いかがでした?」
「すごいトルクとレスポンスですね〜。びっくりしました。あと、ひらひらと倒れて私のFXとは足の性格が違いすぎて・・。」
「そうですね〜、ここまでやっちゃうとFXらしさが失われるから、モリワキカヤバ、BITOの18インチあたりが狙い目かな〜と思っているんです。」
「スペシャルメニューですね。」
「欲しい欲しいと思っているうちが華ですね。」
「その気持ち、解りますね〜。」
「私のこのFXここまで20歳の時から17年かかっていますから・・。」
「17年ですか。」
「17年前もFXは高くて。フレームだけでも17万円していました。」
PLOT製ラウンドオイルクーラー。

うーん。戦闘的なデザインです。

「すごい曲がり方していますね〜。Z400FXにこのプロトのラウンドタイプ付けている人は今まで見たこと無いかな。」
「曲がり方はアールズのラウンドあたりが一番いいかな・。すこし曲がりすぎというような感じがしています。」
「エンジンもつや消しで渋い色ですね。」
「つや消しは埃がつくと目立ってしまいますから、テッカテカにした方がいいと思うんです。耐熱ではGUN(鉄砲)用のがいいと聞きました。」
「鉄砲用?そんな塗料があるんですね。」
「そう。鉄砲用。やってみますか?」
「面白そうですね〜。これ鉄砲用やで!これ鉄砲用やで!と自慢してもピンとくるかなぁ。」
「はははは。でも高いんですよ。」
「辞めておきます(爆)」

Z400GPだから、シリンダーも角なんだなぁ。私のは、丸の上が角になるのか。カッパ寿司のイカみたいになるのかな?
CIBIEの凹レンズ。

「ずっと探していたんですけど、先日出てきたのでゲットしました。」
「なかなかいい顔していますね。ノーマルライトケースだからかな。」

昨晩落札したゼファー400ライトステーを横に。

「あれ?形が違うやん!」
「ホントですね〜。前期とカイで違うかもしれませんね。」
「これまたお蔵入りですね〜。またやってしまった・・。」
「いえいえ、お蔵入りだなんて・・。好きな形だから買ったんでしょ。だったら作ってしまいましょう。」
「作る?」
「そうです。作っちゃうんです。」

やっぱりちょっと感覚が違いますネ!
「フレームにガセットが入っていますね。」
「今回まっちゃんさんのもこのメニューでいきましょうか?」
「いい感じですね。」
「ネックのところもごっつい補強してありますね。」
「一番重要なところですね。肉盛溶接です。結構強くなりますよ。」
「タンク外してもらっていいですか?」
「いいですよ〜。」

ということでタンクを外してもらいました。
「フレームのセンターパイプの後ろも塞がっていますね。」
「ここのところは弱いし中も錆びるから上下塞いじゃうんです。」
「ネックのところも何だか違いますね〜。」
「ここも補強を兼ねて塞いじゃいます。」
「中が見えないし・・。見えても仕方ないけど。」
「Zとかは左右に2本ありますが、Z400FXはこの辺が一番弱いかな。だから補強出来るところはやっちゃったほうがいいかな。」
ダイナコイル・・。タンクを外さないと見えないアイテムですけど。

このプラスチックの質感ね。抹茶羊羹みたいでグ〜!
エキパイの後ろにも補強が。ギリギリのところに装着。ほんの数ミリ上ならマフラーはまらない。
「これ、計ったんですか?」
「偶然です(爆)」
Kawasakiのエンブレムを止めるビスも何だか六角になっているし。

「よくこんなビス見つかりましたね〜。」
「秘密のアイテムです。実はラジコン用なんですよ。ラジコン用だから高い高い。」
「ラジコン用は高いんですか?」
「高いっていうもんじゃないですよ〜。」

そうしてラジコンの話が続きました(爆)
「さあ、今日は忙しいですよ。全て外してブラストがかかるようにしてくださいね。」
「エンジンもフォークも何もかもですか。」
「何もかもです。フレームだけにします。」
「今からエンジンを降ろします。その後全てばらきます。」
「了解しました。」
Z400FX購入後ずっと手を付けていなかったフレーム。最後の見納めの時がやってきました。
リアサス付け根裏側。メッサ錆びがまわっていました。購入した日を思い出していました。
ホーン奥側・・。この辺もすごい事になっていました。基本的に見えないところは何もしていないですから・・私。
いよいよエンジンを固定するボルトを緩めはじめます。
今までこのボルトは緩めた事がなかっただけに、恐る恐るでした。

「これ、スポっと抜いたらエンジンごそーん!うそーん!みたいにならないの?」
「はははは。エンジンごそーん!うそーん!は怖いですね。ならないですよ、エンジンはフレームに乗っかっているだけなんですよ。」

そう聞くとちゅうちょなくボルトを緩めていきました。
「なんじゃ!この錆びは・・・。」

エンジン上部のボルトは完全に腐っていました。

水の入るところだからかな。
バラいてはじめてわかる部分も多いです。しかし、このボルト再利用出来るのかな〜。
「さあ、吊り上げますよ〜。まっちゃんさんはそちらを持ってください。」
「ここですか。」
「はい、そうです。いきますよ〜。」
「せーの・・。よっこいしょ。」
ということでエンジンは無事降ろされました。

「私は仕事してますんで、全部外してください。工具は好きに使ってくださいね。」
「ありがとう。」
そうして作業を続けました。エンジンを降ろすとすごく軽いバイクに。ホイールも外すとこれまたメッサ軽い。当然の事なんですけどね。

フロントのステムのベアリングの玉がポロポロとれて焦りました。

ピポットシャフトを抜いて、いよいよフレームだけになりました。

「作業早いですね〜。そのまま、外に持っていきましょう。」
外にはブラストマシンが。

「普通はブラスト用のガラスビーズを使用しますけど、今回は砂を使用します。」
「砂ですか?」
13:00。いよいよブラスト作業の開始。

プッシュー!!

「痛っ!あいたたたた。」

砂は凄い勢いで跳ね返ってきます。ということで最初は写真のようなへっぴり腰に。
プッシュー。

見る見るうちに塗装と錆が取れていきます。途中から虜になりました。
購入時を思い出していました。めくっていくと、4年前購入時の姿が見えてくる。
錆。懐かしい状態。その上から缶ペンでごまかしていたのがわかる瞬間でした(爆)
砂はみるみるうちに減っていきます。
14:00。1時間後、8割完成。でもここからが長い。全てを取ろうとするとずっと当てなければならなかった。

「うわぁ。腰が棒のようになってきている・・。」
さらに1時間、ブラストをかけ続けました。

ずっとこの姿勢なので、ウンコをしたくてしょうがない(爆)しかしツナギを脱ぐのが面倒なのでずっと我慢していた。なんのこっちゃ。
前のオーナーがどうやらラッカースプレーで塗りなおしている所があって、それがなかなか落ちない。塗料に弾力というか、粘りがあるんです。これにはさすがに参りました。
さらに1時間後。ようやく完成。13:00から開始して16:00。日がかげり始めていました。気が付くと耳の穴、鼻の穴も砂だらけに・・。
「まっちゃんさん、センタースタンドのステーをどうします?」
「この際だから切っちゃいます。」

ということでサンダーで切り落としました。
この時既に残りエネルギーは5%。

頭もおかしくなってきていました(爆)
「もっとザクッといったりましょう。まっちゃんさん、すこし休んでいてください。」

「すいません。」
「ここも今から溶接しますので、綺麗にしちゃいましょう。」
「溶接ですか?」
「もうすぐ溶接専門の友人がやってきますので。ネックの部分の補強は今日やってもらいますわ〜。」
そして溶接専門のお兄さんがお見えになり、ネック部の強化溶接が始まろうとしていました。
ジーーーーーッ!

フレームブラスト後、突然の溶接劇にびっくりしていました。
「まっちゃんさん、直接見たら駄目ですよ。目焼けちゃいますので。」
「す・すげ〜。」
専用マスクを借りてずっと見ていました。溶接が始まるまでは普通の景色なんですけど、溶接が始まると光を感知して突然暗くなるというハイテク仮面にひとり感動していました。
こうして見る見るうちに溶接は進んでいきました。
ジーーーーーッ!
ジーーーーーッ!

「まっちゃんさん、直接みたら目焼けるから絶対みたらあかんよ。」

「はい・・。しかし眩しいなぁ・・。」

みとるがな。
いよいよ完成。
次に、フレームを逆さまにして、ネック下の強化溶接。
すき間が開いている場所を溶接。
下側もスポット溶接。
「出来ましたよ。」

「何だか凄いですね。」

後で聞いたことだが、オーナーの前で溶接するのはプレッシャーだったらしいです(笑)
しばらくずっと眺めていました。

こうして、フレームのブラストと、ネック部の強化溶接作業は終了しました。
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